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Seel STAFF BLOG

カルチャー系フリーペーパーを制作しているSeel編集部のスタッフたちによるブログ。

あなたの聖地は、どこですか

こんばんは。3年営業のカワベです。田圃に緑色の稲が植えられ、喜ぶ蛙の声が毎晩なかなか止まない今日この頃。まだクーラーは付けまいと意地を張りながらの更新です。Seel Vol.20は7月上旬発刊です。今仕上げ作業中ですのでしばしお待ちを。最高のものができつつあります。

 


 

 突然ですが、信仰している宗教はありますでしょうか。無宗教国家である日本ですが、中には特定の宗教を信仰している人もいるでしょう。かくいう僕は、都合のいい人間なので大事な試験の前日とか、激しい腹痛に襲われたときだけ「神様お願いします、何でもしますから!」と神様にすがるタイプの人間で、基本的には無信仰です。イエスの復活は「うそだぁ」と思ってしまうし(それでもクリスマスにはしっかり浮かれるのでやはり都合のいい人間です)、1日5回メッカの方角へ礼拝するのも「律儀!」と思ってしまうんです。決して宗教を否定したいわけではなく、今までは宗教に対してこういうことしか思っていなかったということが言いたいんです。なんでかっていうと、この春、信仰する宗教を持つ人の感情というのが少し分かった気がしたから。読んでいるうちに変な新興宗教へいざなったりするものではないので安心して読んでいただければと思います。

 

 


 フジファブリックというバンドが大好きなんです。ドラマ版『モテキ』の主題歌を担当したり、ドラマ『サマーヌード』でヒロインの思い出の曲として登場したり、『宇宙兄弟』や『銀の匙』などの主題歌も担当しているので一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。情緒的な曲から変態的な曲まで、似ている楽曲は一つとしてなく飽きが来ないのが魅力です。

 


モテキ』主題歌

フジファブリック 夜明けのBEAT: http://youtu.be/3cupbrwhNp0

 


銀の匙』主題歌

フジファブリック LIFE (short version): http://youtu.be/UpTmPtxw350


 

サマーヌード』ヒロイン思い出の曲

フジファブリック - 若者のすべて: http://youtu.be/IPBXepn5jTA

 

 


 

 実はボーカルの志村正彦という男、5年前に亡くなっています。高校へ向かう電車の途中(高校生だったという事実と時の流れの速さに絶望しつつ執筆しています)で亡くなったというニュースを知り、その日1日何をしたのか全く記憶にないほどショックを受けました。彼は奥田民生にあこがれて音楽を始めたのですが、民生が『29』というアルバムを出した歳と同じ29歳でこの世を去ってしまったのです。まだメジャーデビュー5年のことでした。


 

 彼の死後も残りのメンバーが遺志を継ぎバンドは残り、今年10周年を迎えます。その記念として、志村の地元である山梨県は富士山のふもと、富士吉田市において2008年に行われた凱旋ライブを、全く同じ会場で上映するという「上映會」なるイベントが行われました。これに遠路はるばる3時間をかけて参加してまいりました。上映自体は言うまでもなく良く、終始涙を流したものです。DVD化もされましたのでよろしければお貸しいたします、ご一報を。

 


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上映會は15時ごろ終わったため、せっかくなので富士吉田散策へ。知り合いの地元が富士吉田市ということもあり案内してもらいました。会場で配られた、志村作「下吉田てくてくMap」を元に。



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まずは志村の母校である山梨県立吉田高校へ。前述の知り合いが同校出身だったため学内まで案内してもらい、志村が演奏したであろう体育館のステージなども拝見。とても不思議な感覚に陥ります。次に「浮雲」という曲の歌詞に出てくる「あの丘」のモデルになった丘へ。志村が学生時代ギターを背負って登ったそうなのですが、疑ってしまいました。だって、

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400段もの階段を登らなければならないんだもの。ギターを背負ってなんてきつすぎるはず……! でも丘からの景色は最高で、長旅と階段の疲れなんて吹き飛びました。富士山と五重塔と満開の桜。どうぞTwitterのヘッダーにしてください。



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最後に向かったのは彼のお墓。先客がたくさんいて、お供え物も溢れんばかり。彼の嗜好品であったアメスピやコーラがぎっしり。ファンの愛を感じます。いざ墓石の前に立つともう色々な感情がどっと押し寄せてきました。高校時代から、何でもない日も特別な日もずっと聴いてきて救ってきてくれた音楽を作ってくれた人。手を合わせて目をつむりながら、どれくらいの時間が経ったか分からないほど心の中で話しかけていました。

 


 本当は他にもいろいろと回ったのですが割愛。ここでようやく冒頭の宗教のお話に戻る訳です。これ、まさしく「聖地巡礼」だったんですね。ある聖地に向けて信者が礼拝しにいくというアレ。例えばイスラム教ではすべてのムスリムに、一生に一度のメッカ巡礼が義務付けられています。今まで何のためにそんなことするんだと思っていたのですが、今回志村の「聖地」を巡ってその気持ちが分かりました。ずっとそれを信じてきた人にとってその縁の地に行くというのは想像以上に大きな意味と力を持っていたんです。実際に行く前とその後ではフジファブリックの音楽の聴こえ方も変わったし、よりフジファブリックが好きになりました。きっとムスリムもメッカに巡礼した後はより信仰心が厚くなるのでしょう。そんなムスリムの気持が今であれば少し、分かる気がします。ちょっと教徒の気持が分かった気がした春の出来事でした。

 


 皆さんも好きな人や作品の「聖地」があるのであれば一度行ってみることをお勧めします。きっと見え方や聴こえ方が変わってくるはずです。