31文字の世界
はじめまして。営業一年の保苅です。
早いもので今年ももう12月、Seelの忘年会も終わり、来年三月発刊の新刊の企画が始まっています。
次号はどんなカルチャーの号になるんでしょうか。私も今から楽しみです。
そこで今回、私が皆さんに個人的に紹介したいカルチャーは、
「短歌」。特に「現代短歌」です。
最近は現代短歌が国語の教科書に掲載されていたりするので、こちらの有名な歌などは見たことがある人もいるのではないでしょうか。
“終バスにふたりは眠る紫の〈降ります〉ランプに取り囲まれて”
「シンジケート」より、穂村弘さんの名作です。穂村弘さんは私が一番好きな歌人です。第一歌集「シンジケート」は、もはや古典と称される名著なのでぜひ一読を!
“「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日”
「サラダ記念日」より、俵万智さんの言わずと知れた有名な歌ですね。
では、私のオススメ短歌を紹介していきたいと思います。
“遠くから手を振ったんだ笑ったんだ 涙に色がなくてよかった”
この句は柳沢真美さんが「かんたん短歌の作り方」という本の中で詠んだ句です。とても綺麗で儚い歌ですよね。
続いてもう一首。この歌は、前述した私の大好きな穂村弘さんが詠んだ句です。
“もうずいぶんながいあいだ生きてるの、ばかにしないでくれます、ぷん”
現代短歌にはこのように、とても口語的で感覚的な歌もあります。
歌の背景や人物が明記されていないぶん、こちらが自由に想像できるのもこのような歌の良さの一つですよね。
この句は穂村弘さん著の「手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)」に収録されています。実はタイトル自体も短歌になっているの、気づきましたか?
穂村弘さんは雑誌「ダ・ヴィンチ」で一般の読者から短歌を募集する「短歌ください」というコーナーの連載をされています。その中から私の好きな歌をいくつか紹介しますね。
“どうせ死ぬ おしゃれな雑貨やらインテリアやら永遠めいて”
“山手線全駅の匂いを調査したサギサワ君の卒業論文”
“このままじゃだめだとえらい人が言う国に暮らしてときどき笑う”
“生きていく理由はいくつおつけしますか?生まれた理由はあたためますか?”
“マンホールに一人一つのぬいぐるみ置いてこの星大好きだった”
一般の人とは思えないセンスの深さに唸ります。選ばれた一首一首には穂村さんがコメントをつけているので、合わせて読むと一層面白いですよ。
では、最後にこの歌でお別れしたいと思います。
“最後だし「う」まできちんと発音するね ありがとう さようなら”
読んでくださりありがとうございました。さようなら!