Seel STAFF BLOG

カルチャー系フリーペーパーを制作しているSeel編集部のスタッフたちによるブログ。

非常事態花粉宣言

こんにちは。デザイン2年の足立です。

人は春が好きだと言いますが、私はあまりそうでもありません。

気温が高くなって過ごしやすくなる分には結構ですが、とにかく花粉がひどい。今年の花粉は特に最悪ですよね。正直ここまでくると非常事態花粉宣言を国が出して、その日は1日中外出を禁止して欲しいくらいです。しかも、スギが終わったかと思えばヒノキがやってくる。次は誰がやってくるのかと思うと不安で夜も寝られません。本当に早く花粉シーズンが終わることを願っています。

どうでもいい話が長くなってしまいましたが、今回は冬の名物「温泉」にまつわる話をしたいと思います。

しかし「温泉」と言っても、どこそこの温泉はミネラルが多くて疲労回復に最適だの、やれ美容にいいだの、やれ飲んだら美味しいだの、そのような話ではありません。

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「温泉」が舞台の演劇の話です。

それがこちら庭劇団ペニノ「地獄谷温泉 無明の宿」です。

この「地獄谷温泉 無明の宿」は庭劇団ペニノという劇団の舞台で、2015年8月に東京で初演をしたのちにヨーロッパ4ヶ所、京都、オーストラリア、で公演を行い、第60回岸田國士戯曲賞を受賞した作品であります。

この舞台のすごいところは美術です。まずはこちらの動画をご覧ください。https://youtu.be/-MzPl54XsvY

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見ていただけたらわかると思うのですが、無明の宿が建物として完全に舞台上に存在しているのです。しかもとてもリアルに。実際に観ると築50〜60年の建物のような風格がありました。パンフレットによるとかなり早い段階でセットを組み上げ、俳優たちが手垢をつけながら稽古をしたことで、舞台上であの一体感が生まれたそうです。しかもセットの中に出てくる小物は全てアンティーク物という凝りよう。中には100年前の年代物まであるそうです。

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セットが一つ一つ実際に繋がっているのもとても面白かったです。観客としては場面ごとの繋がりがとても自然に思えて、本当にその宿で暮らしているかのような感覚に陥るほどでした。

 

庭劇団ペニノの主宰タニノクロウ氏が「チケット代の半分は美術」と言っているのも納得の素晴らしさ。個人的には、脱衣所のドアから垣間見える温泉の湯気が、夕刻の柔らかい光に照らされてぼんやり白く光って見える場面は、どこかこの世のものじゃないような美しさ、懐かしさがありました。

残念ながらこの舞台は最終公演を終え、セットも解体されてしましたが、庭劇団ペニノは次回作で舞台上に寺を建立しようとしているそうです。是非見に行きたい!!

4月1日に発刊したSeel Vol.31「サイエンス・(ノン)・フィクション」も春の花粉なんかに負けないかっこいい雑誌になっております。ぜひお手にとって読んでいただきたいです。

それでは良い春を。

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