Seel STAFF BLOG

カルチャー系フリーペーパーを制作しているSeel編集部のスタッフたちによるブログ。

夢で終わらんよ

こんばんは。デザ2年の宮原です。
家の可愛い犬が湯たんぽになる季節がやってきました。かける愛情もひとしおです。

さて、皆さんは2019年1月7日が何の日か知っていますか?
七草粥を食べる日でもありますし、カンボジアでは「虐殺政権から解放された日」だそうです。
しかし正解は、「夢眠ねむ卒業の日」です。

 

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夢眠ねむさん(ユメミ ネム、ねむきゅん)は、でんぱ組.incというアイドルグループに所属するアイドルです。すでに脱退した最上もがさんが一番有名かもしれないですね。
2009年からでんぱ組に加入した夢眠さんは、10年目を迎える2019年に卒業されるそうです。

 

アイドル好きではない人にも、野球選手であれクラスの気になる人であれ、一人は「推しメン」という存在がいるでしょう。私にとっての推しメンは、夢眠さんでした。私はすでにアイドルオタ戦線から退きましたが、彼女が私の永遠のミューズであるという事実はこれからも変わりません。

 

ところで、推しメンが卒業するというのは悲しいことなのでしょうか?

 

私と夢眠さんが知り合ったのは高校一年生のことでした。前下がりボブ、タレ眉、出っ歯、独特な声、キャラクター。自身を完璧な「夢眠ねむ」として仕立て上げた彼女に私は心を奪われました。そこそこ年を重ねマルチな才能を併せ持つ彼女だからこそ磨き上げたアイドル芸。アイドルというのは、可愛くて若いだけではダメなのです。

 

可愛くて若いアイドルは確かにファンを多く集めますが、それは「可愛さ」と「若さ」という世界でもっとも脆く弱い要素に基づいた一過性のものです。彼女たちが「可愛さ」と「若さ」で支持され続ける限り、その要素が消失したある日、彼女たちは職を失います。その点、「可愛くないのに人気」ということがどれだけ強いことかお分かりいただけますでしょうか。でんぱ組は多くの人々に「ブス」と言われ続けてきました。しかし、それを乗り越え自らのキャラクターとしてのアイドル性を確立し、オタクに勇気と夢と元気を与えた。だから10年も続いてきました。

 

でんぱ組にとって初の武道館が決定した2014年のZeppライブ。初の国立代々木第一体育館でのライブ。私は涙なしには語れない、でんぱ組の歴史的瞬間に立ち会ってきました。チェキ会では故障したチェキを待っているあいだ包み込むように話しかけてくれた夢眠ねむさん…。何を話したかは忘れましたが、私にとってかけがえのない思い出です。多分ロコモコの話をしました。

 

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アイドルの卒業というのは、アイドル戦国時代末期である現代ではもう珍しいことではありません。誰しもが推しメンに忍び寄る卒業の影に怯えながら暮らしています。
私ももちろん、あるメンバーの卒業を経験したことがあります。
国立音大出身の彼女はグループがこれから!という時に卒業を決心し、ピアニストの道へと進んでいきました。彼女の卒業ライブではもう声も出なくなるほど泣きました。今でも彼女の卒業ライブの動画を見ては、一人しくしく泣いています。

 

しかし、メンバーの卒業を祝えるというのは、とても幸せなことなのではないでしょうか。彼女たちの卒業すら、私たちの心の中には宝物として残ります。むしろ卒業という儀式が彼女たちを神格化させるのです。
2018年は多くのアイドルが、全員が卒業を迎えられないまま解散しました。その時のオタクたちの抱えた悲しみは計り知れません。

 

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前述した通り、夢眠さんは自身のアイドル性を確立しました。自分の声を残すためにボーカロイド夢眠ネムを作り、自分が裏方に回っても動かせるキャラクター「たぬきゅん」を作りました。私はなんとも恵まれた人間です。彼女が卒業しても彼女を感じていられるのですから……。

 

だからこそ私は夢眠ねむさんの卒業を、喜んでみようと思います。

 

最後に2本の動画のリンクを貼っておきます。暇な時に是非見てみてください。

① ねむきゅんのヲタ芸講座。かわいい。
https://youtu.be/bYHu2gOtOA4

② でんぱ組で一番好きな曲
https://youtu.be/tJGg5C6cmh0

永遠の魔法少女未満、夢眠ねむさんの永眠を悼んでこのブログを捧げたいと思います。