シティポップと渋谷系とNegiccoと
いつもSeel編集部公式ブログをご覧いただきありがとうございます!2年広報の加藤瑞貴 a.k.a てんび〜です。
普段は自分のブログに色々書いているのですが、こちらへもつらつら書いていくことになりました。よろしくお願いします!
最初の記事ということで何をネタにしようかな...と考えていたのですが、やはり1発目は人となりが分かるものがいいだろうということで、僕がここ数年ハマっている「シティポップ」という音楽のジャンル、そしてそこから派生した「渋谷系」なんかの話をしていこうかなと思います。
80年代とシティポップ
さて、まずは「シティポップ」という音楽のジャンルについてさらっと紹介していきます。
シティポップというのは1980年代初頭〜終盤にかけて流行した音楽ジャンルの1種で「日本版AOR (Adult-Oriented Rock = 大人向けロック)」と呼ばれることもあります。明確に「ここからがシティポップだ!」というような境目はないのですが、一般的には『はっぴいえんど』『ティン・パン・アレー』あたりが源流とされています。
ちょうど80年代は「歌謡曲」から「ポップス」へ移り変わる境目の時期だと個人的には思っていて、実際「シティポップ」と呼ばれるような音楽のサウンドも従来のフォークソングに似たものとは全く違い、エレキギターや管楽器を使いながらジャズ・フュージョン・クロスオーバーを混ぜ合わせたようなものに変化しています。
また「大人向けロック」と呼ばれる所以は歌詞にも色濃く出ていて、都会に住む女性の暮らしや都会特有の無機質さを歌ったもの、大人な恋愛観を歌ったものが多め。
メロディと合わさった結果、総じて「夜の首都高で聴きたい」と感じさせてくれる曲が多数ですね。
亜蘭知子 - Midnight Pretenders
いくつか個人的好みのシティポップを紹介していきます。まずは亜蘭知子の「Midnight Pretenders」。1983年にリリースしたアルバム「浮遊空間」からの1曲です。
重いドラムのビートやちょっと奥行きを感じ音作り、そして亜蘭知子の少し色っぽい歌声が絡み合って堪らなく心地いい。
松任谷由実 - シンデレラ・エクスプレス
ご存知、松任谷由実の「シンデレラ・エクスプレス」。もともとは同名の特別番組向けに書き下ろされた曲なのですが、JR東海のクリスマス・エクスプレスというCMシリーズの第1弾にも採用されました。
JR東海のCMです。エモさしかない。
24時間シティポップが聴けるラジオ
シティポップに興味を持った人はこちらのラジオもどうぞ。24時間シティポップしか流れていない動画なので着実にシティポップ好きになれます。
90年代と渋谷系
さて、80年代に流行したシティポップですが、90年代に入るとその勢いは徐々に衰えていきます。
「夜のヒットスタジオ」「ザベストテン」「歌のトップテン」といった80年代を代表する音楽番組の終了と、ブルーハーツなどに代表される第2次バンドブームの始まりが主な要因とされています。
シティポップと入れ替わるようにもてはやされるようになったのが「渋谷系」と呼ばれる音楽ジャンル。
CDの普及によって邦楽・洋楽問わず様々なジャンルの音楽を聴けるようになり、その中から音楽性を見出したアーティストやその雰囲気自体が分類されているようです。80年代の「シティポップ」と直接繋がりがあるわけではありませんが、楽曲主義という点では共通しています。
渋谷系のアーティストとしてはフリッパーズギター・ORIGINAL LOVE・ピチカートファイブあたりがその代表でしょう。
ORIGINAL LOVE - 接吻
ということでORIGINAL LOVEから「接吻」を。渋谷系はシティポップと比較すると聞くことは多くないんですがORIGINAL LOVEはよく聴いています。
現代とNegicco
こうして80年代・90年代に流行した2つのジャンルは年代の移り変わりとともに衰退してしまうのですが、2010年代に入ってからあるアイドルがまさに「シティポップ」「渋谷系」の楽曲センスを取り入れた路線を進んでいます。
それはNegiccoというアイドル。そう!!!僕がここ1年でこよなく愛するようになったアイドルなのです!!
2003年に1ヶ月限定で結成された新潟県出身のご当地アイドルなんですが、色々な縁が重なりながら活動を続け今年で祝15周年。2015年のアイドル楽曲大賞では1位2位を独占、2016年の同賞でもアルバム部門3位に輝いている本格派です。
サトウのCMキャラクターにもなっているので、名前は知らなくても「あ〜この子たちね!」となる人も多いのではないでしょうか。
で、彼女らのすごいところは活動歴の長さに加え、楽曲を提供してくれる人々。
渋谷系で紹介したORIGINAL LOVEの田島貴男をはじめ、ピチカートファイブの小西康陽、NONA REEVESの西寺郷太、最近のアーティストでいうとOKAMOTO'S、Shiggy Jr.、土岐麻子、レキシなどが楽曲を提供してくれているんです。
そんなNegiccoの曲は「これぞアイドル!」といったものからシティポップ・渋谷系全開のもの、ミディアムテンポの曲など様々。曲経由でファンになる人も多いので「楽曲派アイドル」なんていう呼ばれ方もしますね。
ライフ・イズ・キャンディ・トラベル
いくつか曲を紹介していきましょう。こちらは「ライフ・イズ・キャンディ・トラベル」というどちらかというとシティポップに傾倒している楽曲。
見ていただけるとわかるんですが、Negiccoは「NegiBand」という専用のバンド隊が大きいライブだと登場しまして、同期なしの生演奏をバックに歌ってくれます。また通常のバンド編成に加えて「ネギホーン」という管楽器隊もいるので、他のアイドルにはない楽曲の良さが光るんです。良さしかねえ...。
矛盾、はじめました
続いて土岐麻子が作詞で参加している「矛盾、はじめました。」という、こちらもややシティポップよりの楽曲。
曲名に句読点を使うセンス!『素敵な恋だけど 素敵な私じゃいられないの』というドキドキ感満載の歌詞!そしてあえて単調に統一されたPV!これがアイドルの楽曲とは思えない!!!
光のシュプール
こちらはORIGINAL LOVEの田島貴男が編曲で携わっている「光のシュプール」。こちらは楽曲の良さもさることながら海外で撮影したPVもセンス抜群で見惚れてしまう。
これをJRの冬CMソングに採用しなかったのはどうかしているんじゃないかと思いますよ本当。
アイドルばかり聴かないで
最後に紹介するのはピチカートファイブの小西康陽がプロデュースした「アイドルばかり聴かないで」。
『どんなに握手をしても、あの子はデートとか出来ないんだよ、残念』『アイドルばかり聴かないで私を見て』なんてアイドルに歌わせる小西康陽のセンス。そしてしれっと『そんなにアイドルが好きならNegiccoにしてね』と言ってしまう歌詞。
歌詞といい曲割りといい、完全にこの当時のアイドルソングでは群を抜いているとしか。
シティポップからの流れはNegiccoが継承する
80年代シティポップの隆盛から90年代渋谷系、そしてその流れを汲む楽曲派アイドルNegiccoと、僕の音楽観をここ数年で間違いなく揺さぶってくれた3つのジャンル(アイドル)を紹介してきました。
「いきなり80年代のシティポップを聞くのはつまらない」「渋谷系はなんか眠くなる」と考えている人は、まずぜひNegiccoから聴いてほしい。
オススメのアルバムは
- メジャー1stアルバム「Melody Parette」
- メジャー2ndアルバム「Rice & Snow」
- メジャー3rdアルバム「ティー・フォー・スリー」
- ベストアルバム「Negicco 2003〜2012 -BEST-」
- ベストアルバム「Negicco 2011〜2017 -BEST- 2」
の5枚。「あれ?」と思った方、正解です。リリースされている全アルバムです。
敷居が高いと思うかもしれませんがTSUTAYAで借りれば5枚で1000円と、実質無料で借りることができます。即借りましょう。
ちなみにNegiccoは来月7月10日にニューアルバム「MY COLOR」をリリースします。
トレーラー動画が公開されていますが、数十秒の抜粋を聴いただけでも「これは神だ」と知ることができます。新たな知見を得ましたね。よーし今すぐタワレコで予約だ!
おっと、そろそろ時間が来てしまったようです。もう一人僕の音楽観を形成したアーティストについて語りたかったのですが、それはまた別の機会に。